特定非営利活動法人

仙台敬老奉仕会

第10回研修会
第1回シンポジウム

特養ボランティアの現場から

09・11・20 仙台福祉会館


第1席:森山英子 (白東苑 傾聴ボランティアの会)
第2席:小林テイ子(自生苑ボランティア 臨床パストラルカウンセラー)
第2席:榎田 シノブ(宝樹苑 ボランティアコージネーター)
第4席:岡本仁子 (リーフ鶴ヶ谷 認定ボランティア)


第1席森山英子 (白東苑 傾聴ボランティアの会)

私は50歳になってから大学で福祉心理学を学んだ。日本には自殺者が多いことに心を痛めた。秋田県能代市では、自殺防止のために保健師を派遣して孤独老人を訪問させ、話を聞くことを始めて、自殺を減らすことに成果を挙げた。仙台市にはそれが無いので、「仙台傾聴の会」を立ち上げ、仲間とともに孤独な人を訪問し、傾聴する制度を作った。

配偶者に先立たれ、孤独に陥り、死のみを考えていた人が「私を気にかけている人がいる」ことを知って、生きる意欲を回復することが少なくない。「仙台傾聴の会」は毎月1回研修会を開いている。仲間はいま68人に達した。60代の人が最も多い。孤独者の訪問には地域包括支援センターや社会福祉協議会と提携しあっている。

「傾聴の広場」を設けているが、これは心の悩みを聴くところで、一般の市民に開放し、相談に与かっている。利用者も少なくない。

介護で苦労している人に対しても傾聴の機会を設け、喜ばれている。
特養などの老人施設を訪問し、傾聴している。今はこれが中心になっている。
デイサービス施設、認知症、言語障害の人などにも活動を広げている。

今後は子育てに悩む母親や、病院の患者さんにも活動をしたい。仙台市立病院が移転新築されるが、そこに傾聴室を設置して頂くよう、申し入れている。
人は話し相手が必要である。よく聴いて貰うと、わだかまりが吐き出され、心が整理され、気づきが生じ、自分で解決に到達する道に繋がる。傾聴者は心の援助者であると同時に、自分自身の喜びに通じ、有用感、充足感に達することができる。

傾聴者はまだ数が少ない。これから増える団塊の世代が傾聴ボランティアに参加することを望む。ボランティアを支える組織がアメリカにあると聴くが、そのような組織が日本にも欲しい。


第2席:小林テイ子(自生苑ボランティア 臨床パストラルカウンセラー)

自己紹介

私は1998年~傾聴ボランティアの研修をNPO法人臨床パストラル教育研修センターの研修を受け2002年臨床パストラル・カウンセラーの資格認定を受けました。(5年間有効2007年5年毎に更新される制度で)再認定を受け通算8年、現在に至っております。

活動内容

①研修を受けながらボランティア活動。
スペルマン病院3年(研修を含め)
ドイツでの研修20日間
宮城県立がんセンター5年(ボランティア)
白百合苑カリタスの丘2,5年
自生苑 3年
二級ヘルパー認定

②ボランティア活動を行ないながら、ボランティアを目指す方の為の研修講座(心のケア)を31回(年3~4回)講師を招いて開催して参りました。

③ホームヘルパーの方、ケアマネージャーの方々と傾聴の勉強会6年(月第1土曜日、福祉プラザ会場)

④訪問会話の検討会スーパービジョン開催60回行い、今後も継続していく。)

ボランティア活動に心がけていること

①訪問できるという立場は、相対する方より健康面において優位な立場でありそれ自体が相手より優者であることを認識していること。

②相手の方の生きてきた核をきちんと評価し認めること

③相手の会話の大事と思う部分を反復すること(それによりその方の心の叫びに出会う)

④その方の家庭のことや家族関係を話すよう誘導しないこと。

⑤その方の悩み苦しみを解決してあげることはできないが、あなたが大切な存在として最後まで“ともに”居ることはできる。

⑥相手とのフィーリングを知ること、目線が同じ視点であること。

⑦あなたのためにしてあげるは自己満足になるので注意する。

臨床パストラル教育研修センターの紹介

日本に欧米のような霊的ケア(世界保健機関(WHO)が推奨している((心のケア、傾聴)が必要と考えたウァルデマール・キッペス氏(神父、経歴別紙) によりNPO法人臨床パストラル教育研修センターが設立される。

全国大会12回、(研修を兼ね)東京会場をはじめ、福岡、大阪、名古屋、札幌、開催

ドイツの研修で心に残った、人間が全人的なケアをされるということは、どのようにあるべきかを目で見、心に感じて帰り、病む人が叫んでいるその声を聴ける者になれたら、そんな人が沢山増えたらと、その願いを持って現在活動を続けています。

私は民間の施設、公的といわれる病院でのボランティアを通してボランティアを便宜的に扱われることを感じてきました。

現在、活動をさせて頂いている自生苑は準職員と同じように受け入れられていてボランティアをしていて良かったと思っています。
(10年経って少しづつ社会も変わってきています。)

◆  ボランティア活動の振興について

①ボランティアもボランティアとしての専門的教育を受けるべきだと考えています。

②地域の活動方法、視点のあり方、受け入れ態勢、個人の資質のレベルアップ、その他諸々ありますが、人の尊厳を守るという視点からそれぞれで良いと言うことではなく、相手に対して尊敬の念を持って対するための訓練が大切です。どの施設、団体でも同じ方向理念を持って共有社会作りが出来たらとかんがえます。

③活動の評価は、あくまでも患者さん、利用者さんから受け入れられているという評価です。“人としてともに心の通い合い支えあうあたたかい社会”でありたいと願い志すものは、名誉や評価のためでない活動を目指したいと思います。

④ボランティア活動記のような機関紙ができ、活動のレベルアップができたら良いと考えています。

自生苑  パストラルカウンセラー 小林 テイ子


第3席 宝樹苑 榎田 忍ほか

東北福祉大学3年 佐々木彩 渡辺めぐみ

①ボランティア活動の動機
:高齢者の理解
:専門職としてのスキルアップ
:自分の出来る範囲でのお手伝い

②活動内容
:施設内散歩・カラオケクラブや合唱団等の愛好会のお手伝いや会場までのご案内

③ボランティア活動を通して感じた事

*困った事
:当初、高齢者とのコミュニケーションに戸惑い

*嬉しかった事
:ご利用者の笑顔が毎回見られた事
:顔を覚えていただき「又、来てね」「今度はいつ来るの」と声を掛けられる等、自分が必要とされていると実感した時

④ボランティア活動を通して何を学ぶ事が出来たか
:御利用者の話に耳を傾けその方が何を伝えたいのか等を理解する事が大切だと思った。
:相手の立場に立ってものを考え行動する事を心がける様になりました。

⑤これからの活動
:御利用者のお役に立ちたいという気持ちや、御利用者の気持ちを第一に考えるという事を忘れず、ボランティアを通して学んだコミュニケーション等を活かしてこれからも活動を続けて行きたいと思います。

ボランティア・レク・実習コーディネーター 榎田 忍

期待されているボランティアさん

受け入れ施設の寳樹苑では次の様な事でボランティアさんに助けられています。

○点のケアから線のケアへのお手伝い…一緒にいる事のでの安心感
○新しい風への期待…わくわく感・いつもと違う情景

ボランティア活動を継続的に活動する為には

①無理をしないで出来る事から始めて下さい。
②短時間でもよいので利用者の皆さんに顔を見せてください。
③計画的に活動を行ってください。

*最後にボランティア活動を通じて自分の可能性を見つけましょう


第4席 リーフ鶴ケ谷 岡本仁子(認定ボランティア)

私がリーフ鶴ケ谷でボランティアを始めたのは今年の6月で、経験は浅い。リーフ鶴ケ谷は昨年の5月に開設された。ここはユニット型特養で、一般ユニットが5つ、ショートステイが2つで合計70人のお世話をしている。

当施設は認定ボランティア制度を取り、最初のマッチングののち、施設長が認定証を出し、私はそれを名札の裏面につけて携帯している。

職員の指示に従い、1つのユニットで奉仕する。指定されるユニットは毎回変わるので、私は4ユニットを訪問することになる。各ユニットで話し相手、散歩の手伝い、要望があればボタンの付け替え、爪切り、時におやつのお手伝いなどをする。

ある時私は利用者さんから「あなたは優しい目をしているね」と言われて、仏教でいう無財八施の1つ、眼施ができたのかなと嬉しかった。曽野綾子さんの本で「天国に徳を積む」と教わったが、それに近づきたいと念じている。

しかし職員との関係はまだ十分ではない。毎回活動記録を残しているが見て貰えているのか反応がない。活動内容が今のままで良いのか、自分勝手、自己満足に終わっていないかを知りたい。私に取って職員とのコミニケーションの密接化がこれからの課題である。

もっと仲間を増やしたい。利用者の心はさまざまで、施設を自分の家とし、仲間を家族と考える人もいるが、「私はここに島流しに遭ったのよ」と語る人もいる。先日100歳の人が亡くなったが、職員は「私たちは喪に服する時間が無い」と嘆いていた。ボランティアの数が増え、力量を増し、職員と一緒に利用者を支えるようになりたい。

参考 仏教の「無財八施」(お金のかからない布施)

1・和顔施  (やさしい顔)
2・慈眼施  (やさしい眼)
3・慈手施  (手を差し伸べる)
4・慈足施  (一緒に歩く)
5・愛語施  (やさしい言葉)
6・耳施   (相手の声を聞く)
7・身施   (体をいたわる)
8・心施   (心をいたわる)


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