特定非営利活動法人

仙台敬老奉仕会


第13回研修会

平成22年5月21日 午後5時から 於仙台福祉プラザ

第1席 高橋 治 (仙台老人施設協議会会長、特養白東苑理事長)

高橋会長の講演要旨(第13回研修会)

4年前、敬老奉仕会と協力して特養ボランティア育成を図ることになった。始めは難航したが、次第に理解が広まって来た。しかしまだ十分ではない。

ボランティアは無償というのが日本では原則視されているが、必ずしもそうではない。
要は自発性であり、自発的に奉仕する時、お礼を出したり、原価を提供するのはむしろ自然である。
最近、有償ボランティアとか有料ボランティアとか言われるが、本来はこれが自然だ。勿論、無償のボランティアを否定するつもりなない。

白東苑(会長の経営する特養)でも沢山のボランティアが来ているが、行事参加や慰問奉仕が多い。環境整備で花壇の世話や清掃などもして頂いている。
介護にかかわる食事の世話、入浴、シーツ換えなどの奉仕もある。
しかし、単発性の奉仕が多く、安定性と継続性が不十分である。継続的、安定的なボランティアを望んでいる。

10年前に介護保険制度が発足したが、当初は、特養の入所者の介護度の平均を3.5程度と予想した。
しかし今は4.4くらいになっている。日本に42万床の特養ベッドがるが、なお待機者が40万ほどいる。
白東苑は50床だが、待機者が600人もいる。昨年3月に仙台市で待機者の数を精査したところ、およそ900人だった。
そこで3年計画(平成21~23年)で500床を増やす計画を作った。
初年度は200床募集したが、167床しか応募がなかった。
今年は333床の募集をしているが、果たしてどうなるか。

1施設の建設に10億円以上はかかる。3分の1は補助されるが残りは自分で調達しなければならない。
また、職員の確保も簡単ではない。大都市圏では施設を建てたが職員が集まらず、予定通り稼働できなかったケースもあった。
仙台ではそれほどではない。昨年、介護職員の給与が上がり、事情は若干改善したが、なお全面的に安定したわけではない。

最近、入所者の介護度が進み、重症者やターミナルのケースが多くなった。
職員の仕事は増え、専門性も要求されている。しかし、職員の配置基準は従来のままで一向に増えていない。
職員が重症者の介護に追われている間、他の利用者に目が届かない事もある。こういう時にボランティアは必要である。
ボランティアも或る程度は、専門的なことを学び合い、認知症を含めた高齢者の対応を誤らないようにしなければならない。
何よりも定期的、安定的、継続的奉仕が望まれる。

そういう事情からも、敬老奉仕会のような組織がボランティアの研修と維持に力を発揮し、施設と緊密に連絡しあい、両者協力して実効のある安定的なボランティア活動を推進したい。


第2席 吉永 馨 (仙台敬老奉仕会会長)

特別養護老人ホームにおける見守り・より添い型ボランティア

要約

1. 見守り、寄り添い型ボランティアを進めたい
外国ではこの型が標準 週一回、定期的、職員と共に働く仲間、準職員のような立場
日本は慰問型、イベント参加型が多い。不定期、外部の人

2. 仙台市民にボランティア志望者が多い
利用者の話し相手になったり、車椅子を手伝ったりして世話したい
役に立ったという喜び、生甲斐を求める。

3. 施設はボランティアを募集している
しかし、市民がそれに応募して行くと、お花を生ける、花壇を世話する、洗濯ものを整理する、イベントに参加するなどとなる。
喜びが少ない、生甲斐にならない。長続きしない

4. 施設はボランティアを中に入れない(従来の考え)
家族でない人が入れば、プライバシーが守れない。
素人を中に入れるという伝統がない。
職場は職員の聖域、素人は侵すべからず。

5. 入れても良い条件
ボランティアが必要な訓練を受け、施設のルールを守るなら入れてもいい。
施設のボランティア係り(コージネーター)とボランティア志望者が話し合う。どんな仕事とどんなふうにするか(マッチング)
合意に達しなければ断固断る。ボランティアも施設も。あいまいのまま始めない。
合意に達すれば受け入れる、毎週1回、毎回3時間くらいが標準。
施設長が認定ボランティアという身分を認定し、認定証を出す。名札の裏に認定証を添付する。これがのぞましい。
認定ボランティアは外部の人でも素人ではない。仕事仲間、準職員の待遇、施設のルールを守り、守秘義務を負う。

6. 施設に世話係(コージネーター)は必ず必要
名札、認定証、エプロン、出勤簿の記入、時々微調整。その担当者

7. 敬老奉仕会の役割
交通費を持つ。名札、エプロンその他が必要なら提供する。
隔月に研修会を続ける。一旦始めたボランティアも施設の人も一緒に研修を繰り返す。だんだんレベルが上がる。継続研修の必要性。

8. この型のボランティアを受け入れる施設
①泉寿荘(泉区上谷刈) ②白東苑(太白区四郎丸) ③愛泉荘(泉区七北田) ④百合ヶ丘苑泉区本田町) ⑤リーフ鶴ケ谷(宮城野区鶴ケ谷)
⑥アルテール青葉(青葉区荒巻三居沢) ⑦リベラ荘(青葉区国見ヶ丘)
⑧潮音荘(若林区荒浜) ⑨自生苑(青葉区芋沢)
⑩パルシア(宮城野区燕沢東) ⑪宝樹苑(青葉区双葉ヶ丘)
⑫サン椿(太白区越路)

9. ボランティア志望者は
申し出て下さい、施設は受け入れ準備を
最初は一緒に行きましょう。

10. 市民運動にしよう
一般市民が賛助会員として寄付する。市会議員の協力、姉妹都市(リバーサイド市)との交流など計画が進行中
仙台を介護ボランティア先進地にしよう。


このページのトップへ   トップページへ

inserted by FC2 system