特定非営利活動法人

仙台敬老奉仕会


第20回研修会

平成23年9月30日、午後5時から 仙台福祉プラザ 第1研修室

シンポジウム:テーマ 「災害ボランティア」

司会:吉永 馨

第1席:鈴木和美(仙台敬老奉仕会)「被災者支援」

第2席:田中 明(仙台傾聴の会) 「避難所における傾聴」

第3席:小林テイ子(自生苑ボランティア)『石巻地区でのボランティアを中心に』

要約

第1席:鈴木和美

私は平常時における支援ボランティア活動もしています。7種の活動に参加してきました。

今度の大災害発生に際し、災害時のボランティアに従事しましたが、平常時ボランティアの経験が役に立ち、緊急援助に有効でした。

被災者を訪ね、その必要度を把握し、それに応えるようにしました。実際にはお弁当や缶詰の提供が多くなりました。

提供するとき、ものを置いて来るようではいけません。被災者の苦労を察し、声を掛け合ってお渡しすることが大切です。一人一人に声を掛けてお渡しました。

災害ボランティアも平常時のボランティアも基本は同じでです。災害の後には平常時のボランティアを一層振興させたいと念じています。

第2席:本田 明

私は仙台傾聴の会に属し、施設の高齢者の所で主に奉仕してきました。

3月11日の大震災発生後、20日に宮城県医師会から要請があり、避難所に避難している人たちのために傾聴活動を始めました。

初めての経験で、どう対応するかに迷いがありましたが、やってみると、被災者は進んで災害状況を話し、この活動にすぐ慣れました。中には私たちを嫌う人もいました。

2か月後くらいから仮設住宅に移る人が増え、私たちの活動も仮設住宅に移りました。
集会所で茶話会を行い、その材料を用意し、一軒一軒案内に行き、集まった人に傾聴奉仕をしました。初めは集まる人が少なかったのですが、だんだん増えました。

この段階になると、初期の興奮が消え、将来への不安を語る人が多くなりました。

他の団体も多く、この種の奉仕を始めましたので、それらとの連携強調も次第に軌道に乗ってきました。

この種の活動は永く続ける必要があります。続けると信頼感が生じ、喜ばれ、私たちも生き甲斐を感じるのです。
仮設住まいは2年間と決められていますが、その後もこの活動を続ける必要があります。どういう形で続けられるか模索中です。

やってみると反省することも多くありました。反省しつつ成長することが大切であると感じています。

第3席:小林テイ子

今日は2つのことをテーマにします。

1.羽仁とも子の創設に掛かる財団は80年の歴史があり、会員は収入の1%を積み立てて公益に用いていましす。
これは日本最古のボランティア活動です。今回の大災害に当たってもこの財団が被災者の支援に、全国の会員が総力を上げて「必要なものを、必要なところに確実に届く」をモットーに支援をしています。
私もこの会に属し、県内の津波の被災地の支援活動に参加しています。石巻、南三陸町、岩沼など、各地の仮設で奉仕を行っていて、炊き出しは前日から始め、当日は朝7時ごろから準備し、食事、物資その他を持って被災地を訪問し、被災者と交流をつづけています。

被災された方々との信頼関係は成立しにくいのですが、支援する側と受ける立場で関わるのではなく、同じ人間同士、苦しみ痛みを共有することを許されるなら共に生きたいと願っています。

私たちは被災者の苦難を解決することはできません。
そばにいる事さえ苦痛を与えているかもしれないということを念頭に置きたいと思います。

2.ボランティア活動には軍資金が必要です。健全なボランティア

活動ができる社会は、上記の財団のように、私たち市民が、政治や誰かに頼るのではなく、社会の一員として、自ら社会に差し出す、公共の準備金として少しでも積み立て、いざという時に十分な支え合いができる仕組みができたらと、今回の地震で考えました。
収入の1%は目標であるがそれにこだわりません、強制はできません。公共のお金なら惜しみなく社会のために使うことができると思います。
ボランティア活動は1~2年の活動で終わることはなく、長い間継続することになります。そのためにも、市民の絶えざる支援が必要です。
市民全体が日常生活の中で工夫すれば、1%くらいを生み出すことは可能です。ボランティア活動を支援し、維持する社会を作りたい。
細く長く、終わりのない努力が必要と思います。

この後、総合討論を行った。フロアからの発言が多く、時間を超えて意見の交換があり、それでもすべて論じ尽くせないくらいであった。
災害ボランティアで盛り上がった力を、今後は平常時の活動に振り向けて行こう。
息の長いボランティア活動を展開しよう、という雰囲気に満たされた。

(文責:吉永 馨)


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