第51回研修会 講演要旨
日 時 : 平成28年11月18日(金)午後3時から
会 場 : 仙台福祉プラザ 第1研修室
講 師 : 矢吹知之 認知症介護研究・研修仙台センター 主任研究員
テーマ : 欧州に於ける介護事情
概況
矢吹先生は認知症の専門家であるので、主として欧米や日本の認知症介護の事情をお話しになった。仙台敬老奉仕会は高齢者介護全体を対象としているので、当然認知症以外の症例も含まれる。しかし、当会が奉仕する特養の入所者の大部分は多かれ少なかれ、認知症を呈している。先生の講演は当会の活動にとって非常に有益であった。
講演内容
- 認知症は人口の高齢化と共にどこの国でも増えている。日本の高齢化率(65歳以上の人口の割合)は26.8%で欧州各国の17~18%よりかなり高い。しかも総人口が多いため、認知症の実数は格段に多い。
- 欧米各国では認知症ケアを国家戦略として法制化している。それは2005~2010年に始まっている。日本では2015年にオレンジプランとして同様の戦略をスタートした。
- オレンジプランの概要
オレンジプラン|認知症施策推進5ヶ年計画(2013-2017)
標準的な認知症ケアパスの作成・普及
早期診断・早期対応
認知症初期集中支援チーム
認知症疾患医療センター
地域での生活を支える医療サービスの構築
精神科病院に入院が必要な状態像の明確化
地域での生活を支える介護サービスの構築
地域での日常生活・家族の支援の強化
認知症地域支援推進員
若年性認知症施策の強化
医療・介護サービスを担う人材の育成 - 欧州各国の対策の概要を示された。各国がかなり力を入れ、官民一体の体制を維持している。(詳細省略)
- 高齢者が子共と同居している率は各国とも少ない。老夫婦所帯や独居が増えている。その点、日本はまだ老夫婦所帯や独居は少ないほうである。それでも老夫婦所帯はおよそ20%、独居老人はおよそ10%である。
- 日本で、認知症の初期症状が出ても、対策が講じられず、介護保険適応となるまでの間が対応のギャップとなっている。
- 認知症対策として認知症カフェが開設されている。認知症カフェは1997年、オランダで始まり、その後各国に拡がった。 オランダでは午後7時から2時間、イギリスでは午前11時から午後2時まで開設される。内容は認知症本人や家族、カウンセラー、ボランティアなど。コーヒーや軽食などを取り、人と触れ合い、ゲームや歌があり、時に短い講話がある。
- 仙台でも矢吹先生たちが認知症カフェを7箇所開設し、実績を上げている。