特定非営利活動法人

仙台敬老奉仕会


第56回研修会 講演要旨

日 時 : 平成29年9月15日(金)午後3時から
会 場 : 仙台福祉プラザ 第1研修室
講 師 : 中澤堅次先生(元宇都宮済生会病院長、現老健施設「いこいの里」施設長)
演 題 : 老健施設勤務医が見た「人生最終章におけるヘルスケア」

要旨

  • 日本人の平均寿命は男性で80.2歳、女性で86.6歳。健康寿命は男性で71.2歳、女性で74.2歳。その差は男性9年、女性13年。子らが人生の最終章に当たる。最終章は疾病を持ちながら生きる。
  • 体の動きが鈍くなり、排泄の問題も多くなる。トイレに行くとき転倒しやすい。おもらしも多くなる。家族はそれを見て嘆き、叱る。叱っても改善はしない。老人はそういうものと理解すれば落ち着く。
    介護施設ではお漏らしは許容している。施設の担当者は転倒を用心しているが、防ぎきれないこともある。
  • 介護施設は自分の価値観で老人を遇しがちであるが、正しくない。老人の価値観を理解し、それに沿わなければならない。
  • 困窮者の救済は通常の理念では対応しきれない。欧米のような宗教の理念が必要ではないか。
  • 北欧では人工的な延命は行われない。寝たきりの人もいない。水分の供給がないと、人は1週間で死に至る。そうした死が国民のコンセンサスになっている。
    私の老健で人が食べられなくなると、家族と相談する。北欧のような自然死を望むならそうする。人工的延命を求める場合は病院に紹介する。
  • ボケは最終章においては望ましいのではないか。病苦に対する救いの1つは忘れることではないか。
  • 高齢者の老病に対して、家庭は十分な対応ができていないのではないか。介護施設もニーズをすべて満たしてはいないのではないか。
    介護は国の問題としてとらえ、倫理教育、学校教育、職場教育に反映させるべきである。
    死の定義は、高齢化を反映して実情に合わせて再認識し、法整備を検討すべきである。
会場風景

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